2012年12月15日土曜日

製品の寿命・・・いまだに魅力のあるカセットテープレコーダー

ソニーが最後のテープレコーダー「TCM-410」の出荷を終了したそうです。

TCM-410



私自身最後にテープレコーダーを使用したのは、いつだったか思い出せないほどですが、学生時代には随分とお世話になりました。

そうそうこれが欲しかったのですが、当時子供だった私には高嶺の花で親にねだるくらいしか方法がなかったのが懐かしい思い出です。

National RX5700


FM放送のエアチェックに始まり、まだビデオが自宅になかった子供の頃には好きなテレビ番組の音だけでも録音しようとテレビの前にラジカセを置いて録音しました。

レコードももっと気安くきけるようにとわざわざカセットテープに録音して、ウォークマンで出かける時に聞きました。

高校でバンドをやったりとか、あるいは何か勉強目的でも何かオリジナルなコンテンツを吹き込んだりということもやっていましたね。

ノイズを下げるために録音の際にドルビーを効かせるかどうかを友達とディスカッションしたのも良い思い出です。

そう言えば少しでもクリアな音をということで、通常のテープではなく少しお金を奮発して「メタルテープ」を買ってみたりもしました。(メタルテープは、メタルポジションのあるテープレコーダーがないと使えませんでしたが)

あの頃は、たとえダビングしたところで音はどんどん劣化していったということもあったのかもしれませんが、例えば友達どおしでお互いの持っているレコードを録音しあったこともごく普通に行われて、かつ大きな問題にもなっていなかったように思います。

もちろん手間もかかるし、コピーされるもののボリュームが圧倒的に少なくなかったので業界的にもそれほど著作権に目くじらを立てるような状況でなかったのかもしれませんが。当時そのような状況に何かディスカッションがあったのか調べてみようかな。

おっと今日は話しをそちらにふるつもりはありません。

でも案外テープの愛用者がいるというのに気がついたのも最近です。つい先日、ある取材にいっしょにでかけた方が取材の録音にテープを使用されていました。

ICレコーダーの場合普段から使いつけていないといざ本番で戸惑って結局録音ができていなかったということがよくあるというのは、その人だけでなく色々な方から聞くことがあります。(私自身はiPhone/iPadアプリを使用していますが)

でもテープレコーダーの場合は、プリミティブなだけにその手の失敗が少ないので使い続けるということになります。実際、録音をして取材内容の確認のために再生をする、という段階ではICレコーダーでもテープレコーダーでも案外手間は変わりません。

カセットテープ(厳密にはコンパクトカセットになると思いますが)をTDKが発売したのが1966年だそうですが、つまりそれから半世紀近くも現役であり続けています。

レコーダーの生産が中止になっても当分の間使われ続けるでしょう。

今開発されているもので、今から50年たっても現役であり続けるコンシューマ・エレクトロニクス製品ってあるのかな・・・。

カセットは確かにレトロな感じもしないでもありませんが、別に古くささは感じないし、というかいまだに不思議な魅力を感じるのは私だけでしょうか。



2012年10月29日月曜日

響く製品は本質をついている

本日のTechOnにトンボ鉛筆の新製品が紹介されていました。

トンボ鉛筆、机の上から転げ落ちにくいシャープペンを発売

「ユラシャ」という名前のシャープペンシルで、ペン胴軸の重心が偏っているため少々乱暴に机の上に置いたとしても、転がっていかないということが肝のようです。

なるほど、面白いですね。通常このような製品の場合重心を偏らせるということは考えないと思いますが、それを逆転の発想で捉えたわけですね。

ただ、せっかくの新製品にケチをつけるわけではないのですが、正直自分に響いた製品か、といわれると残念ながら個人的には響きませんでした。

でも、なんで自分に響かなかったのだろうと考えてみました。

もちろん、既に間にあっているという言い方もできるかもしれませんが、もし自分で気がついていない欲求を引っ張りだすようなものであれば、今必要としているかいないかは大した問題ではなかったでしょう。

では響いた製品は何?

では、その一方で響いた製品はなんでしょう?と考えるといくつかあります。

例えば、つい最近発表されたバルミューダの空気清浄機「JetClean」です。
この製品については、先日私も新製品発表会に行った時の記事を書きました。


なぜ、響いたのかとあらためて考えて見ると、これまでの空気清浄機を大きく上回るであろう清浄力と、特に従来の機械では難しかった「花粉」への対応力など、この空気清浄機があれば、何か部屋の中が大きく変わりそうなことを感じたからです。

もちろんデザインも素晴らしいし、使い勝手も良さそうです。しかし、空気清浄機として最も大事な本質的な機能である「空気を清浄する力」が大きく変わった、と感じたことでしょう。これがなければ、単に新しい格好良い製品がでてきたくらいでインパクトがなかったと思います。

バルミューダは、2010年に発売以来、好調な売上を伸ばしている「GreenFan」も、やはりこのような本質を変えた製品と言えます。

それまでの扇風機と言えば、電気屋さんに行っても「いや~、どれを買っても同じですよ」と言われる存在でした。ところが、ダイソンの扇風機が発売され、さらにその後にGreenFanが発売されましたが、GreenFanは3Wという非常に少ない消費電力というエコな観点と同時に、自然な風を創りだしてくれるという、扇風機のもっとも本質的な機能である「風を送る」という機能において変革を遂げたのです。

つまり、バルミューダの製品は、その本質的な機能に大きな変化を、消費者に響く形で変化を起こしたということです。

この例は他にもあります。

拙著、「デジタルで起業する!」にも登場していいただき、最近テレビでも取り上げられている、Bsizeの八木社長の最初の製品、LEDのデスクライト「STROKE」は、その優れたデザインもさることながら、デスクライトの本質である「照明」の機能が一番のポイントですが、もちろんライトにとって照明は最も本質的なところ。決して格好良いだけではありません。

やはり「デジタルで起業する」に登場していただいた、グラモの後藤社長が出しているiRemoconも、もちろんデザイン性にも優れた製品ですが、そもそもの発想はスマートリモコンを、誰でも使いやすく提供をしようという本質的な機能の提供にもっとも力を注いでいるのです。






大事なのは本質的な機能をユーザにとって響く形で提供すること

もちろん、細かい改良を重ねていくことは大事なことです。

でも、その発想のままでは響く製品を作ることにはつながらないと言えそうです。

本質論に戻ると、先程のシャープペンは確かにちょっとおもしろくて便利な機能は提供しましたが、でもペンや鉛筆の本質である「書く、あるいは描く体験」を本質的に変えてくれるものではありません。

シャープペンではなくて、ボールペンの話ですが、私が現在使っているのはスイスのキャランダッシュ製のものを使っています。

それなりの値段はしましたが、もう10年近く毎日使っています。

このペンの気に入ったところはいくつもありますが、もっとも大事なポイントは、多くのボールペンが大なり小なり液漏れを起こしますが、ところがキャランダッシュ製のこのボールペンは、その悩みに悩まされることがないのです。

もともとこの液漏れがないという評判を聞いて、キャランダッシュ製のボールペンを買ったのですが、そのとおりで書き心地もよくとても満足しています。

結局のところ、いかに本質をついた製品を作っているのか、もし同じ分野で新しい製品を提供するのであれば、いかにその本質に突っ込んで、ユーザの体験を変えるような製品にするのか、それが結局のところ受ける製品になるのか、というところに繋がるのだと思います。

参考までに、やはりTechOnにこのような記事もありました。


この中でに
「それがギミック(gimmick)なら開発しない」と断言した。売り上げを少し上げるためだけの小手先の技術開発なら意味がないという意味だ。逆に、ユーザーや社会に変革をもたらすと確信すれば、たとえ後発であっても採用に踏み切るといえる。
という表現がありました。これは言い換えると、本質をついたものでなければ意味がないと、私は理解しました。

デザインにせよ、機能にせよ、あくまでも「本質」が重要ということですね。

2012年10月27日土曜日

デジタルで3DなFABのセミナーを開催します

11月23日(金・祝日)に「デジタルで起業する! 大手メーカーにはできないひとり会社の成功方法」の出版記念的セミナーを開催します!
内容は、まさに今が旬!な世界的な動きである「FAB」の流れに乗るための第一歩です!

お申し込みはこちら

【こくちーず】http://kokucheese.com/event/index/58972/
【Facebook】https://www.facebook.com/events/331179073646735/


「FAB」という言葉をご存知でしょうか。
ここ数年、世界的に流行ってきていることばです。

FABをご存じなくても「3Dプリンター」という言葉を聞いたり見たりされた方も少なくはないと思います。

さらに、この秋になってNHKの番組「サキドリ」やテレビ東京の「ガイアの夜明け」で「一人家電メーカー」の方が紹介されてきています。

今、何が起きているのかというと、「モノづくり」をするための道具やソフトウェアが大幅に安く、そして使いやすくなってきていて、自分でもメーカーを始めてみたい、という人にとってのハードルが大きく下がってきているのです。

「3Dプリンター」などを使うことで、すぐに自分の望む製品をコピーできる形で複製していくこともできるのです。自分の創りたいモノの造型データさえ作ってしまえば、あとは製品にすることも可能なのです。

自分が望むものを誰にも邪魔されることなく作り上げ、そして販売することも可能なのです。つまり、今は「個人」にとって大きなチャンスなのです。

この3Dプリンターを使うために必要なものが「3D」データです。
(紙のプリンターを使うためには、ワードや写真などのデータが必要なのと同じことです)

そこで、今回は「デジタルで起業する! 大手メーカーにはできないひとり会社の成功方法」の出版記念を兼ねてその第一歩となるセミナーを開催します。

みなさんに自分オリジナルの「iPhoneケース」を作っていただきます。



今回のセミナーでは、オリジナルiPhoneケースの制作を通じて、3D CADを使った3Dデータの作り方を勉強していただきます。基礎さえ学べば、実は「私はAndroidしか持っていない」という方でも、セミナーの後に自作していただけますし、自分オリジナルのアクセサリや小物、プラモデルを作ることも夢ではありません。

これを機会にみなさんもアイデアをカタチにしましょう!
今回は3Dプリンターの出力代程度で、モデリングが勉強できるオトクなチャンスです!

また、事前に
デジタルで起業する!

を読んでおいていただくと、創りたいものについてのイメージが膨らんでくるかもしれません。

【開催概要】

[FAB →ZEN 〜iPhoneケースを自作しよう!〜]
内容:無償の3次元CAD「Autodesk123D」でiPhoneのケースをモデリングします。
日時: 2012年11月23日(金・祝日)13:00~16:00
場所: ZEN Coworking (東京都 日野市 高幡 2-25 開運井村ビル 2F)
主催: ZEN Coworking
参加費:6,800円(3Dプリンタによる制作費等実費6000円込)*
定員: 10人
持ち物:あらかじめAutodesk123DをインストールしたWindowsパソコン**
講師:水野 操
事前の知識:特になし。但し全くパソコンを触ったことがないときついかもしれません。


お申し込みはこちら

【こくちーず】http://kokucheese.com/event/index/58972/
【Facebook】https://www.facebook.com/events/331179073646735/



* iPhoneケースサイズのものを3Dプリンタで制作すると、一つ出来上がるだけで2〜3時間ほどかかります。見ていて非常に退屈ですし、10人分作ると軽く20時間以上かかることになりますので(^^ゞ、今回はデータを制作したところで終了します。後日できあがったiPhoneケースをZENに保管させていただきますので、ご都合が良い日に取りにいらしてください(送料着払いでご自宅へお送りすることも可能です)。

** 3D CADのソフトウェア(Autodesk123D)は、あらかじめご自分のWindowsパソコンにインストールしていただくか(イベント直前にご案内のメッセージをお送りします)、イベント開催日の午前中からいらしてインストール作業を行なってください(お手伝いします!)

2012年10月23日火曜日

空気清浄機の基準を書き換える「JetClean」 by バルミューダ株式会社

2012年10月18日 17:00に原宿のクエストホールでバルミューダ株式会社の新製品発表会が行われた。小雨模様の肌寒い日だったが大勢の出席者で熱気にあふれた会場だった。

この発表会で登場したの画期的な空気清浄機「JetClean」だ。

空気清浄機が再発明されてしまったかもしれない

何がどうすごいのかというともちろんそれは空気清浄機の基準を書き換えてしまうのではないか、と思われるその性能だ。

空気清浄機自体は新しいものではない。むしろ老舗がいる確立した家電のドメインであるともいえる。だが、バルミューダは「JetClean」でその常識を打ち破ったとも言える。

だが、このスタンスはバルミューダの真骨頂かもしれない。バルミューダは何よりも扇風機「GreenFan」でやはり扇風機の常識を変えた。安いもの一辺倒に流れていた扇風機にダイソンとともに高級な扇風機というドメインを確立しているのだ。

さて、その空気清浄機の何がすごいって、その空気清浄力だ。
空気清浄機なのだから、空気中の浮遊物を取るのは当たり前と思われがちだが、今回バルミューダが発表した「JetClean」を見れば、実はまだまだ改善の余地があることがわかる。

発表の冒頭で、バルミューダ株式会社の寺尾玄社長は、私のたちの身の回りはいかに出すダストに取り囲まれているのか、そして部屋をきれいするはずの掃除をしている時にも、ダストがいかに巻き上げられているのかを映像を見せながら説明した。

それを見る限り、実は空気清浄機は私達の生活を変えうるものであることが実感される。
そのことについては、後ほどまた説明する。

まず、その形状はシンプルではあるが、無駄がなく美しい。
そして、寺尾社長によれば、接地面積は非常に小さくA4サイズの紙一枚よりも小さい。こは、従来の製品と比較すると約60%である。

JetClean

そして、肝心のパワーであるが毎分1万リットルもの空気を循環させる力がある。適用畳数も国内最高性能の36畳である。つまり、それだけ小さな筐体から大きな力を出しているのだ。

今回発表のJetCleanでは、空気清浄機ではマイナスイオン技術を使っていない。
寺尾社長によれば今回の発表までには、この製品でマイナスイオン技術をしようするまでには効果が確認できなかったという。

そのかわりにフィルターにこだわっている。たとえ、マイナスイオン技術を使って集塵しても最後にどうやってダストを取るのかというえば、やはりフィルターである。ということで徹底的にフィルターにこだわったのだ。

JetCleanでは、8メートルもの長さのHEAP性能素材をプリーツ状に折りたたみ360°のフィルターにして。HEAPフィルターはクリーンルームでもメインフィルターとして使用されるものである。約0.3ミクロンのウイルス程度の粒子でも除去できる。

実験では、6畳なら15分で除去できるようだ。

実際のそのすごさを壇上でデモンストレーションした。



軽々と紙風船を拭きあげていることがわかる。
ところが、これはまだフルパワーではないのだ。



フルパワーになるとリボンを3メートルも上に吹き上げる。
これくらいになると、空気をきれいにしながら部屋の空気の充分に循環できそうだ。

もちろん、しっかりとダストも集めている。



そして、そこで寺尾社長は大きなキーワードを持ってきた。

「花粉」

だ。

花粉症の救世主かも

もはや日本の国民病と言ってもよいだろう。
花粉対応力についても、従来の空気清浄機と比較すると圧倒的なパワーを発揮する。

寺尾社長によれば、空気清浄機で花粉を除去するのは非常に難しいとのことだ。実際、掃除機のほうが向いているともいえる。

なぜかと言えば、花粉は他のダストに比べると大きくて重たい。
だから、舞い上げられても床に落ちてしまうのだ。

そして従来の空気清浄機では、花粉を集めるだけの十分な気流が作れなかったのだ。

ところが、ここまで紹介したパワーでこの気流が作れてしまうのがJetCleanだ。

実験では、5分間稼働させただけで、部屋の反対側の粉塵を花粉を除去することができた。



驚くべきことに、従来の業界トップの製品でも除去率が3%だったのに対して、JetCleanではなんと38%だ。




これは、ひょっとしたら花粉症の人にとっては大きな救世主になるかもしれない。

さて、これだけのマシンだが、決して主張しすぎるマシンではない。
大きなパワーの割に筺体は小型だ。

操作ボタンも3つしかない。
迷いようがない、といったらよいだろうか。

さらに、ハイパワーのマシンだが、のべつまくなしにフルパワーで動くわけではない。
寺尾社長は日常の生活シーンに合わせた利用を提案している。

朝人が動く時や掃除をする時などはフルパワーで、一方で落ち着いてそれほどダストが巻き上がらない時には、パワーを落としてという柔軟な使い方ができる。

今回の機械が稼働していたのは発表会という場所で比較的うるさい場所だったからかもしれないが、それでも機械の動作音は気にならなかった。

価格は46,800円だ。
価格をどうみるかは個人によるが、これはバーゲンかもしれない。
これだけの空気清浄力を持ちながら、エアサーキュレーションすらできる力もあるのだ。

ひょっとしたら、この空気清浄機は自分の生活を変えるかもしれない。

「JetClean」に対してそんなことを思った。

来年の春の花粉症のシーズンまでには買っておこうか・・・。

2012年10月20日土曜日

現代 書店考 ハイブリッドな本屋さんが持つ意味

私は本が好きです。

暇があると書店にいきます。もっとも最近は紙だけではなく、電子書籍も買います。

最近は特に洋書類はKindleが便利なので電子書籍にはしっています。また紙の本も「Amazon」をはじめネットで買うことが多いです。だからといって本屋がなくなっても良いのかというと全く違います。

実は自分は結構な書店フリークなのでは、と思っています。時間がある時に立ち寄るのは本屋が多いですし、地方に出張に行けばまず書店を探します。アメリカによく出張していて時も、やっぱり書店に入り浸っていました。

とはいえ、昨今の書店は廃業するか、あるいは超大型化するかのどちらかにはしっています。もっとも、これは業界問わずに進んでいる傾向ですが。

古書まで含めると「超専門店化する」ということも選択肢にあるかもしれませんが、今回のブログ記事ではいったんスコープから外します。

ということで現在生き残っている書店を見ると、その傾向は2つに分かれていると思います。

一つは紀伊国屋、丸善、ジュンク堂、ブックファーストなどを初めてする超大型チェーンですね。筆者が住んでいる京王線沿いの啓文堂などのような比較的ローカルな大型チェーン店もありますね。

そして、もうひとつは、最近流行りのブックカフェ的なちょっと雰囲気があって、また本の品揃えもその店の店主や、ブックコーディネータなどが特徴を出しているお店などがありますね。

私個人としては、どちらのタイプのお店でも比較的滞在時間が長くなること。そして何かをつい買ってしまうこと。

一方で違うのそのお店の中での過ごし方です。

大型店のほうは基本的に「本を探す」ことそのものが目的と言えます。目的外なのかそれとも棚をグルグルと回って意外なものと出会うのが目的なのかはともかくとして、
「情報と出会う」
ということが意識の中心にあるのではないかと思います。

一方でブックカフェなどを含むハイブリッド店の場合には、目的が違いますね。
お店によって本が「主」か「従」かはともかくとして、「本」そのものだけでなくその本が作り出す空間や雰囲気も合わせて楽しむ。言い換えると、本が作り出すその文化を求めにいくのかもしれません。言ってみれば「本を中心にしたサロン」。

ちょっと思いつくところで私が好きな場所としては、

新宿の「ブルックリンパーラー」
http://www.brooklynparlor.co.jp/

あと、リゾートあたりにいくと
小淵沢のリゾナーレの中にある「ブックス&カフェ」
http://www.risonare.com/en/shop/shop05.html

他にもまだまだありますが、あとはこちらのまとめサイトをご参考に。
http://matome.naver.jp/odai/2130881468676245401

そこは、書物に書かれている情報を獲得する場所ではなく、そのまわりに付随する情報をその空間や雰囲気という文脈全体を楽しむ場所であることです。

強引にサマリーするとやっぱり大型書店は情報の目的買いのための場所、最近出てきたハイブリッド型店舗は文脈を楽しみながら本に出会う場所ともいえます。

もちろん、本屋さんでも文脈で本を変える場所がないではありませんが、圧倒的少数で多くの人にはまだ馴染みがないようです。残念ながら、そんな場所の一つであった丸善の中にあった「松丸本舗」は、2012年9月30日に閉店してしまいました。

しかし、本に出会う場所としてハイブリッド型の雰囲気が楽しめる場所は実はふさわしいのではないでしょうか。

私がイシス編集学校で学び、また師範代となった時に実感しているのは、まさに
「情報は一人ではいられない」
ということ。

情報は、様々なカタチをとって私達の前に現れます。
そのようなハイブリッドなカタチをとって情報を結びつけてくれるというのも私は好きです。「モノ」であったり、「動画」であったり、「写真」であったり、あるいは「音楽」であり、「食事」かもしれません。

そんな場所で、今日もまた「本」に出会いたいと思います。