2012年10月29日月曜日

響く製品は本質をついている

本日のTechOnにトンボ鉛筆の新製品が紹介されていました。

トンボ鉛筆、机の上から転げ落ちにくいシャープペンを発売

「ユラシャ」という名前のシャープペンシルで、ペン胴軸の重心が偏っているため少々乱暴に机の上に置いたとしても、転がっていかないということが肝のようです。

なるほど、面白いですね。通常このような製品の場合重心を偏らせるということは考えないと思いますが、それを逆転の発想で捉えたわけですね。

ただ、せっかくの新製品にケチをつけるわけではないのですが、正直自分に響いた製品か、といわれると残念ながら個人的には響きませんでした。

でも、なんで自分に響かなかったのだろうと考えてみました。

もちろん、既に間にあっているという言い方もできるかもしれませんが、もし自分で気がついていない欲求を引っ張りだすようなものであれば、今必要としているかいないかは大した問題ではなかったでしょう。

では響いた製品は何?

では、その一方で響いた製品はなんでしょう?と考えるといくつかあります。

例えば、つい最近発表されたバルミューダの空気清浄機「JetClean」です。
この製品については、先日私も新製品発表会に行った時の記事を書きました。


なぜ、響いたのかとあらためて考えて見ると、これまでの空気清浄機を大きく上回るであろう清浄力と、特に従来の機械では難しかった「花粉」への対応力など、この空気清浄機があれば、何か部屋の中が大きく変わりそうなことを感じたからです。

もちろんデザインも素晴らしいし、使い勝手も良さそうです。しかし、空気清浄機として最も大事な本質的な機能である「空気を清浄する力」が大きく変わった、と感じたことでしょう。これがなければ、単に新しい格好良い製品がでてきたくらいでインパクトがなかったと思います。

バルミューダは、2010年に発売以来、好調な売上を伸ばしている「GreenFan」も、やはりこのような本質を変えた製品と言えます。

それまでの扇風機と言えば、電気屋さんに行っても「いや~、どれを買っても同じですよ」と言われる存在でした。ところが、ダイソンの扇風機が発売され、さらにその後にGreenFanが発売されましたが、GreenFanは3Wという非常に少ない消費電力というエコな観点と同時に、自然な風を創りだしてくれるという、扇風機のもっとも本質的な機能である「風を送る」という機能において変革を遂げたのです。

つまり、バルミューダの製品は、その本質的な機能に大きな変化を、消費者に響く形で変化を起こしたということです。

この例は他にもあります。

拙著、「デジタルで起業する!」にも登場していいただき、最近テレビでも取り上げられている、Bsizeの八木社長の最初の製品、LEDのデスクライト「STROKE」は、その優れたデザインもさることながら、デスクライトの本質である「照明」の機能が一番のポイントですが、もちろんライトにとって照明は最も本質的なところ。決して格好良いだけではありません。

やはり「デジタルで起業する」に登場していただいた、グラモの後藤社長が出しているiRemoconも、もちろんデザイン性にも優れた製品ですが、そもそもの発想はスマートリモコンを、誰でも使いやすく提供をしようという本質的な機能の提供にもっとも力を注いでいるのです。






大事なのは本質的な機能をユーザにとって響く形で提供すること

もちろん、細かい改良を重ねていくことは大事なことです。

でも、その発想のままでは響く製品を作ることにはつながらないと言えそうです。

本質論に戻ると、先程のシャープペンは確かにちょっとおもしろくて便利な機能は提供しましたが、でもペンや鉛筆の本質である「書く、あるいは描く体験」を本質的に変えてくれるものではありません。

シャープペンではなくて、ボールペンの話ですが、私が現在使っているのはスイスのキャランダッシュ製のものを使っています。

それなりの値段はしましたが、もう10年近く毎日使っています。

このペンの気に入ったところはいくつもありますが、もっとも大事なポイントは、多くのボールペンが大なり小なり液漏れを起こしますが、ところがキャランダッシュ製のこのボールペンは、その悩みに悩まされることがないのです。

もともとこの液漏れがないという評判を聞いて、キャランダッシュ製のボールペンを買ったのですが、そのとおりで書き心地もよくとても満足しています。

結局のところ、いかに本質をついた製品を作っているのか、もし同じ分野で新しい製品を提供するのであれば、いかにその本質に突っ込んで、ユーザの体験を変えるような製品にするのか、それが結局のところ受ける製品になるのか、というところに繋がるのだと思います。

参考までに、やはりTechOnにこのような記事もありました。


この中でに
「それがギミック(gimmick)なら開発しない」と断言した。売り上げを少し上げるためだけの小手先の技術開発なら意味がないという意味だ。逆に、ユーザーや社会に変革をもたらすと確信すれば、たとえ後発であっても採用に踏み切るといえる。
という表現がありました。これは言い換えると、本質をついたものでなければ意味がないと、私は理解しました。

デザインにせよ、機能にせよ、あくまでも「本質」が重要ということですね。

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